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東北の保育者たちに学び、備える~巨大地震が来る前にできること

元・名古屋短期大学保育科教授まきさんと一緒に考える保育所・幼稚園の震災・防災・地震対策

標高(海抜)の調べ方

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標高(海抜)の調べ方

職場の保育園などが津波想定区域にあることは知っていても実際に津波が来る可能性があるかどうかは知りたいですね。
そのためには、まず園に津波が到達する可能性があるのかと園の標高を知ることです。

南海トラフ地震は大きな被害が想定されていますが、正しく知って、事前の十分な対応を取れば被害を最小限に食い止めることができます。
名古屋市は、大きな交差点などでは標高が表示されていますが、園や自宅の標高はわかりません。
ここでは、標高の調べ方を紹介します。

まずは園周辺の立地を知ること
津波の想定と標高を調べる


南海トラフ地震で、みなさんの園の所在する市町村の最大津波想定を知って下さい。
自治体の情報から得るか、「南海トラフ地震 被害想定 朝日新聞」で検索すれば、みなさんの市町村にどのような津波が何分後に来るかがわかります。
例え津波想定区域外であっても、豪雨災害の時に園周辺が周りよりも低ければ冠水する可能性があります。

昨年、大阪市住吉区の園からzoomでの講演依頼を受けて調べた時の話です。
園の標高は10.7メートルで、南海トラフ地震の最大津波の想定が5メートルですから、津波が園舎に到達する可能性は低いということになります。
ただし500メートル西に行くと住之江区ですが、隣の区の標高は4メートルほどしかありません。住吉区は上町台地に立地しており、地盤も高く安定していますので、園に留まり園児を守ると共に、海側の巣もよし区から住民が避難してくる可能性があるので、避難所の子どもへの支援などを考えてもらいたいということを伝えました。

マピオンと国土地理院の地図検索サイト

マピオン
マピオン地図1

マピオン2
ホームページで「マピオン」で検索していただくと簡易検索ですがクリックした地点の海抜が表示されます。
1メートル単位ですが、ある程度の海抜が分かります。
国土地理院
国土地理院のホームページは10センチメートル単位で簡易検索といっても海抜が検索できます。
写真は名古屋駅を比較しましたが、マピオンでは1メートルの表示、国土地理院は2.2メートルでした。駅近くの交差点の表示は2メートルですから、国土地理院のほうがより正確のようです。
地理院1

地理院2

地理院3

マピオンの検索の仕方
マピオンは、「マピオン」のホームページを開き、都道府県、市と選んでいき目的地の場所を検索します。
目的の保育園などにカーソルを合わせ右クリックすると目的地の情報が出てきます。右上に標高が出てきます。

国土地理院地図の検索の仕方
国土地理院の地図は、「地理院 地図」のキーワードから地図を開きます。目的地の住所を入力すると目的地の地図が出てきます。
左下に標高が出てきますので、簡単に検索できます。

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海抜ゼロメートルの保育施設71園 名古屋市

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海抜ゼロメートルの保育施設71園 名古屋市


南陽第一1

写真は名古屋市港区の南陽第一保育園 海抜は-80cm

2021年1月24日、共同通信社が全国の認可保育所など約3万4500カ所のうち、43%となる約1万4700カ所が津波・洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地していると報道しましたが、津波を伴う地震や洪水で危険な海抜ゼロメートルの施設がどれくらいあるのかを名古屋市で調べてみました。

濃尾平野は全国一の海抜ゼロメートル地帯

濃尾平野は全国一の海抜ゼロメートル地帯を抱えています。
全国の海抜ゼロメートル地帯は、1,184㎢ありますが、その3分の1の402㎢が濃尾平野にあります。愛知県が最大の286㎢、岐阜県61㎢、三重県55㎢となっています。
自治体としては、愛知県津島市、弥富市、愛西市、あま市、海部郡、名古屋市、三重県桑名市、岐阜県海津市などです。

名古屋市内は港区・南区・中川区・熱田区に海抜以下に保育所がある

名古屋市内の保育施設を国土地理院のホームページから調べたところ、海抜ゼロメートル以下の保育所は62園です。幼稚園は、計9園で内訳は港区5園・南区2園・中川区2園です。
各園の海抜は、-80センチメートルからゼロメートルまでで、港区内でみると全保育施設、幼稚園の平均海抜はわずか11センチメートルです。
これは現状の海抜ですが、東日本大震災では最初の揺れで数十センチから120センチメートル地盤が下がりました。海抜ゼロメートルの施設でも地盤が下がることになれば、堤防が決懐した時点で園庭は水没することになり、さらに港区で最大想定津波高は5メートルが襲来することになります。

早く高い場所に避難する

海抜の低い園では、どうすればよいのでしょうか。
南海トラフ地震の場合、津波の到達時間は1時間半以上と想定されていますが、震度6強から7の揺れ で堤防が崩れる恐れがあります。
そうすると津波が到達する前に園舎周辺が水に浸かる恐れもあります。
東北の経験は、できる限り早く垂直に避難するということを教えてくれました。
小さな子どもを連れての避難は500メートルが限度と思って避難先を確保してください。

港保育園1
名古屋市立港保育園

港保育園2
屋上が避難場所に

写真の園は名古屋市の港保育園(海抜50センチメートル)ですが、改築時に屋上に避難場所を開設しました。
写真左側の階段で屋上に避難できます。

改築はお金もかかり大変です。
小学校などに避難する場合は、人数分のおんぶ紐や避難車を用意してください。
30センチメートルの津波で子どもは流されますし、大人でも子どもを抱えての避難は困難です。

災害警戒区域立地の保育所43% 

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災害警戒区域立地の保育所43% 「移転なし」が千市区町村
共同通信 2021年1月24日(日) 21:14配信


警戒区域立地保育所

浸水区域、警戒区域に立地している保育施設の割合

共同通信社は、2021年1月24日、以下のような記事を配信しました。

 全国の認可保育所など約3万4500カ所のうち、43%となる約1万4700カ所が津波・洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地していることが24日、共同通信の自治体アンケートで分かった。一方、これらの地域に立地する保育施設があるものの、東日本大震災以降、防災のために移転した施設はないと答えた自治体は約千市区町村だった。
 保育所の全国的な立地状況が明らかになるのは初めて。移転困難な要因として用地取得や財政面の課題を挙げる自治体が目立った。各地で甚大な自然災害が頻発し、南海トラフや首都直下などの巨大地震が予想される中、子どもの命を守る環境整備が急務となる。

1月17日 阪神・淡路大震災から26年目

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阪神・淡路大震災から26年目

1月17日 阪神・淡路大震災から26年目


プレート

1995年1月17日5時46分、淡路島北部から神戸市にかけてマグニチュード7.3、最大震度7の直下型地震が発生しました。
犠牲者は震災関連死も含めて6,343人で、東日本大震災が発生するまでは第二次世界大戦以降最大の自然災害でした。

直下型地震は海溝型地震以上に予測できない

国土地理院ホームページより

阪神・淡路大震災の直前の今後30年以内の発生確立は0.02%から8%でした。
南海トラフ地震の発生確立の70~80%と比較すると、ほとんど発生しないのではないかという確率です。
地震列島日本は、4つのプレートが重なり合う場所にあり、陸地側のプレートにもひずみが生じ、断層ができます。
プレートの境界で発生する地震は数十年から100年とかという周期の短い地震も多いため、発生確立も高い数字が出ますが、それでもいつ発生するという具体的な予測は、年段階でも出すことができません。
直下型地震の発生確立は数千年と長いものが多く、プレート境界型地震以上に予測が立ちません。

全国の主要活断層は111

2021年1月17日のNHKのニュースWebによると、現在、全国の主要な活断層は111か所あります。
直下型地震の発生確立は数千年と長いものが多く、最高ランクの発生確立が3%以上のSランクは31か所あります。
切迫度が高い活断層は8か所あり、高い順に「糸魚川ー静岡構造線断層帯」のうち長野県の区間、静岡県にある「富士川河口断層帯」、熊本県の「日奈久断層帯」の一部、長野県の「境峠・神谷断層帯」、「中央構造線断層帯」のうち愛媛県の区間、岐阜県と長野県にある「阿寺断層帯」、神奈川県にある「三浦半島断層群」、広島県と山口県の沖合の「安芸灘断層帯」となっています。

事前の備えが重要

直下型地震の揺れは短く、阪神・淡路大震災の時は、12秒間程度でした。
断層近くでは、巨大地震の場合は突き上げるような萩しい揺れですので、阪神・淡路大震災クラスの地震では、机の下にしゃがみ込む、何かにつかまるくらいしかできないでしょう。

園舎の耐震補強、クラスの棚の固定、落ちると危険な物を棚の上に置かないことが重要です。




保護者への防災対応の伝達

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保護者への防災対応の伝達  改訂版
釜保育所
写真は釜保育所(後ろの建物は復興公営アパート)

保育所保育指針解説では

2018版の保育所保育指針解説の「4 災害への備え」では、 保護者に災害発生時の対応について保護者の理解を得ておくことが必要であるとしています。
しかしどれだけの園で保護者への説明がされているでしょうか。

しっかり、真剣に説明すること

ある保育所の職員さんたちと保護者への説明について話をしたところ、「うちの保護者は話を聞いてくれるかな」と話されていました。
宮城県石巻市の釜保育所の大橋巳美子所長は、新入園の申し込みに来た保護者に、「保育時間中に大地震が起こったときは、隣の復興公営住宅のアパートに園児を責任を持って避難させるので、保護者のみなさんは慌てて迎えに来ないでご自身の命を守って下さい」という趣旨を伝え、理解していただけるのであれば入園の許可を出されています。

園児の命にかかわることですので、保育所側が重大性を認識し、しっかり話をすることが大事です。

保護者への説明のポイント
ポイントは、
1)大規模災害が発生した時にどこに避難するのか、
2)保護者もまずは安全を確保すること、
3)警報の解除など安全が確認されるまで引き渡しは行わないこと、
4)電話連絡がつかないときの園との情報伝達の方法などです。



◎保護者宛ての説明文・新版の見本がダウンロードできます◎

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