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PRESIDENT.Online 2020/07/30
京大火山学の権威が断言「富士山に大異変」…コロナ後に「日本沈没」は現実だ噴火前にみられる数々の兆候
鎌田浩毅 京都大学大学院人間・環境学研究科 教授
鎌田教授の解説は興味深いです。要約を紹介します(見出しは野津が付けました)。
富士山の噴火とは
今年4月に政府の中央防災会議が富士山噴火のシミュレーション結果を発表した。
今、富士山が大噴火したら江戸時代とは比べものにならない被害が予想される。火山灰が降り積もる風下に当たる東京湾周辺には、多くの火力発電所が設置されている。ここで使用されているガスタービン中に火山灰が入り込むと、発電設備を損傷する恐れがある。
また、雨に濡れた火山灰が電線に付着すると、碍子(がいし)から漏電し停電に至ることがある。すなわち、火山灰は首都圏の電力供給に大きな障害をもたらす可能性があると言える。
同様に、細かい火山灰は浄水場に設置された濾過装置にダメージを与え、水の供給が停止する恐れもある。大都市のライフラインに火山灰が及ぼす影響が心配されだ。
さらに室内に入り込むごく細粒の火山灰は、花粉症以上に鼻やのどを痛める可能性がある。目の角膜を痛めたり気管支炎を起こしたりする人も続出し、医療費が一気に増大するだろう。
富士山の近傍では、噴出物による直接の被害が予想される。富士山のすぐ南には、東海道新幹線・東名高速道路・新東名高速道路が通っている(図表2)。もし富士山から溶岩流や土石流が南の静岡県側に流れ出せば、これら3本の主要幹線が寸断される。首都圏を結ぶ大動脈が何日も止まれば、経済的にも甚大な影響が出るに違いない。さらに、富士山の裾野にはハイテク関係の工場が数多くある。細かい火山灰はコンピューターの中に入り込み、さまざまな障害を起こす可能性が考えられる。
富士山が噴火の被害予測
富士山が噴火した場合の災害予測が、内閣府から発表されている。富士山が江戸時代のような大噴火をすれば、首都圏を中心として関東一円に影響が生じ、最大で総額2兆5000億円の被害が発生するという。
これは2004年に内閣府が行った試算であるが、東日本大震災を経験した現在では、この試算額は過小評価だったのではないか、と火山学者の多くは考えている。富士山の噴火が首都圏だけでなく関東一円に影響をもたらすことは確実だ。まさに、富士山の噴火は日本の危機管理項目の一つと言っても過言ではない。
巨大地震と富士山噴火
火山の噴火は巨大地震によって引き起こされることがある。2030年代に発生が予測されている南海トラフ巨大地震が、富士山噴火を誘発することが懸念されている。巨大地震と噴火というダブルショックが首都圏から東海地域を襲い、日本の政治経済を揺るがす一大事となる恐れがある。
私たち専門家は「火山学的には富士山は100%噴火する」と説明するが、それがいつなのかを前もって言うことは不可能である。
と言っても、噴火は直下型地震と違って、ある日突然襲ってくるということはない。現在の観測態勢は完璧ではないが、地震や地殻変動などの前兆現象を現在の予知技術は見逃さない。
正しく恐れる
自然災害に対する正確な知識を事前に持ち、起きつつある現象に対してリアルタイムで情報を得ながら、早めに準備することが肝要である。過度の不安に陥るのではなく「正しく恐れる」ことが大切と言えよう。まずハザードマップを入手し、どのような被害が起こりうるのか知識を持っておくことが大切である。火山灰が降ってきてからでは遅いので、「平時のうちに準備する」のが防災の鉄則なのである。
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園の防災についての声

写真は大川小学校で犠牲となった児童のお母さんたちが咲かせた種を譲り受け咲かせたひまわり
ちいさいなかま9月号は、園の防災特集ですが、読者のみなさんの興味深い声がたくさん紹介されていました。
大阪の保護者(母親)さん、「一番気になっているのは、保護者との連絡体制の確保を、園が真剣にしていないことです…過去に被災した保育園の知見を使ってどんどん改善してほしい」
大阪の保護者(父親)さん、「避難訓練などを行っているのと行わないのではまったく違うので、やはり訓練は本番さながらを想定して行ってほしい」
いずれも大事な指摘だと思います。
一方で、岐阜の保育者さんは、「訓練にあたっての準備を行ってしまう」とのことです。事前に上着や靴、ベビーカーを準備して訓練の開始を待っているとのことです。
また、京都の職員さんは、「毎月避難訓練をしていますが、保育士と子どもたちのみ、私のいる給食室や非正規雇用職員は関係なし」とのこと。避難の必要な大規模災害では、大人は一人でも多いほうが良いことは少し考えればわかることです。調理員さんがどのクラスのサポートにはいるか決めている園もあります。
緊張感の無い避難訓練、書類だけで訓練をやったことにしてしまうことのないようにしなければいけません。
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ちいさいなかま2020年9月号
「どうすればいい? 子どもと共に園の防災・避難計画」解説版
ちいさいなかま9月号で紹介された原稿に加筆、修正し、解説版としました。


保育力が試される
災害時の対応は、東日本大震災のように午睡中であったり、熊本地震のように新学期早々かもしれません。
あらゆる事態を想定しますが、最終的にはその場の状況に合わせて保育者一人ひとりが最善の行動を取る必要があります。
防災対策の取り組みは、子どもたち、保育者の安全を最優先しながら対応しますので、避難訓練を含めてしっかり防災対策に取り組めば、保育者としての力量もつき、チームワークも強固となります。保護者との信頼関係も深まります。
耐震補強や危険箇所の整備はできているか?
地震対策の第一は、園舎の耐震補強とブロック塀などの危険物の除去、棚やロッカーの固定と棚の上や中にある物の落下防止です。南海トラフ地震では、阪神・淡路大震災と同じ震度7が想定されている地域が多数ありますので震災対応の前提となる課題です。
防災マニュアルの作成と見直しはできているか?
保育所保育指針では、災害対応のマニュアルの作成を義務付けています。場所が変われば避難経路も違いますので、マニュアルは施設単位で作成する必要があります。
東日本大震災で74名の子どもが犠牲となった大川小学校の裁判では、「内容の不備を是正していない」と指摘されていますので、「マニュアルがあるから大丈夫」ではなく、新たに発生した災害から学び、常に見直す必要があります。
職員・保護者に周知されているか?
宮城県石巻市の私立日和幼稚園では、東日本大震災で5名の園児が津波の犠牲となり、遺族が園に対して損害賠償請求を起こしました。仙台地方裁判所は園側が危機管理マニュアルを職員に周知していなかったことの責任を認めています。
大川小学校の裁判では、非常時の対応について保護者に周知させていなかったことの責任が問われています。
職員と防災対策を話し合い、保護者に対しては説明の機会を設けるべきです。
子どもと共に職員、保護者の命を守る
常に子どもたちと共に保育者の命も守るという意識を持つことが大事です。
保育所保育指針解説では、保護者の送迎訓練を行うことを求めていますが、津波時の対応などでは危険な場合があります。
東日本大震災では、かなりの子どもが保護者に引き渡した後で津波の犠牲となっていますし、迎えに来ようとした保護者も犠牲となっています。
津波想定区域の保育施設では、安易な引き渡しを行わず、保護者も自分の安全を確保した後で避難先に迎えに来る規程にすべきです。
子どもの命を守る力を育てる
名古屋市の熱田福祉会では、危機管理マニュアルの中で「子どもたち自身が年齢に合わせて自らの身を守る力を育てる」ことを目標にしています。
犠牲者が千人ほど出た釜石市では、子どもの防災教育に取り組んだ結果、学齢期の子どもの犠牲は学校にいなかった五名のみでした。幼児期から避難訓練等を通して自らの命を守る取り組みを続ければ、防災意識のある子どもたちが大人になり、次の世代にも受け継がれます。
あらゆる状況を想定した対応を
仙台高裁は、大川小学校の裁判でハザードマップについて、「予想浸水区域の外に避難すれば安全であることを意味するものではない」と指摘しています。
ハザードマップは、過去の災害等を元に作成していますので、次に発生する災害はそれ以上の被害をもたらすかもしれません。東日本大震災やこの間の台風被害のように従来の常識を超えた規模のものかもしれません。園長不在の時に発生するかもしれません。避難道路が液状化により通れないかもしれません。
まず園庭に避難し全員そろうまで待機し、それから列を作り避難所に避難する、この通りこなせば間に合わない地域もあります。東北では、年長児を二名の職員が先に避難させ、一名は引き返して未満児の避難を手伝い、何とか全員の避難を終えた園もあります。
宮城県石巻市の私立なかよし保育園では、大きな揺れの後で園庭に避難しようとしましたが、園庭に地割れが走り、地面が開いたり閉じたりしていました。当時の大橋巳津子園長は、避難予定先は近くの小学校でしたが、耐震補強済みの保育園二階の子育て支援センターに避難するように指示を出しました。その後、一階の床上まで浸水し、最後の子どもの保護者が迎えに来たのは丸二日後で、ボートに乗って帰って行きました。
津波時の避難では、車での移動は渋滞に巻き込まれ危険です。できる限り園から近い場所で垂直に避難できる場所を確保する必要があります。おぶい紐は全乳児分を用意し、避難車も三歳未満児が乗れる台数は確保してあるでしょうか。三〇センチの津波で子どもは流されますし、子どもをおぶっていては保育者も流されます。
公立園では、市役所と連絡が取れなかったですし、あらゆる事態を想定する必要があります。
最善を尽くす
福島県いわき市の保育士さんは、死ぬかと思われる大きな揺れが数分続く間に、今日は園長も主任も不在であること、職員の中で自分が一番の経験者であること、揺れが収まった時はクラスの子どもに避難指示を出し、その後、各クラスを回り園庭への避難を指示することを考え、少し揺れが収まると想定通りの行動をされました。
万全の準備をしたうえで、その状況下で最善を尽くす必要があります。
感染症対策も必要
新型コロナウイルス問題では、災害の発生と重なった場合の避難所の感染症対策が課題となりましたが、津波や洪水の場合は園庭が汚水をかぶり感染症が発生します。汚染された園庭を裸足で歩くと感染症にかかるリスクがありますので、園庭の土を入れ替える必要があります。
ヘドロは粘土をすりつぶしたような細かな粒子の状態でこびりつき、乾くと粉となって舞いますのでマスクは手放せません。町中が臭くなり、ハエも大量発生します。手洗いや消毒も欠かせません。
実践的な避難訓練を行う
保育所は毎月1回以上の避難訓練を義務付けています。幼稚園は、消防法の適用のため年2回以上としか規定されていませんが、この回数では不十分です。認可外保育施設を含めて月1回以上の避難訓練を実施すべきです。
愛知県内のある園の避難訓練の様子を紹介します。
訓練開始の放送を入れる時に、所長は小石を入れた空き缶を鳴らしながら緊迫感を持って地震発生を伝えます。子どもたちは、廊下にいる子どもたちも素早くだんごむしのポーズをとります。
以後は、停電を想定してハンドマイクからの指示に変わります。全クラスに指示が伝わるように園庭から園舎に向かっての指示です。担任はメガホンで園児の状況を園長に伝えます。毎回、体調不良やけがをした子どもが出ること、階段や廊下で通行不能になる場所を設定していますので、保育士は状況に応じて行動します。
大人の真剣さは子どもたちにも伝わります。この園では、毎回、訓練後の反省会を開いていますし、保護者参加の訓練も行っています。
地域との連携を取る
東日本大震災では、地震の発生と共に近くの事業所の社員が園庭に駆けつけ、避難を手伝ってくれました。津波から避難する場合は一刻を争いますし、高い場所への避難です。大人が多ければそれだけ早く避難できます。
なかよし保育園は指定避難所ではありませんでしたが、近くの住民の方の避難を受け入れました。日頃から、地域との関係作りをしておくことが必要です。
公立保育所を守る取り組み
公立園は私立園と比較すると相対的に規模が小さく、通園距離も近く、経験を積んだ保育者も多くいますので災害時の対応で利点があります。
また、公務員保育者は発災後、避難所等で住民の支援に当たりますので、子どものいる被災家庭を支える役割も担います。
災害が避けて通れない日本だからこそ公立の保育施設を守るため、安易な民営化を許さない取り組みが重要です。
また、東日本大震災や新型コロナウイルス対策でも明らかになりましたが、私立園も含めた非常時にも対応できるだけの職員配置基準の改善と正職員化、そしてクラスの小規模化とゆとりのある保育空間の保障が求められます。
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第30回公立保育園園長・主任・中堅職員セミナーのレジュメ公開
全保連のセミナーに参加
2020年1月12日、全国保育団体連絡会主催の第30回公立保育園園長・主任・中堅職員セミナーが名古屋市で開催され、「災害に保育所はどう備えるのか 各地の教訓から学ぶ」をテーマに講演と参加者のみなさんと交流を行いました。
当日配布されたレジュメを紹介します。
資料をご覧になりたい方はここをクリックして下さい。
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今まで常識と思っていることは本当に有効か?-2-
だんごむしのポーズは本当に必要?

写真は避難訓練の様子です
保育所、幼稚園の避難訓練では、地震発生の放送を入れると子どもたちは、その場にしゃがみ込み、だんごむしのポーズを取る園が多くあります。
だんごむしのポーズは、大事な頭を守る目的だけでなく、低い机の下に潜りこむときに有効です。
ただし、机やテーブルが無い室内や屋外ではどうでしょうか。
私たち大人は、外出中であればカバンを頭の上にかざし、頭を守りながら安全なビルなどを目指して逃げます。室内では、机などを支えにして揺れから身を守るか、それでも不安なときは机の下にしゃがみ込みます。
園庭で遊んでいる時に大きな揺れが来て、周囲に落下物の危険がない場合は、地面に手をつき揺れから身を守るだけでも問題ありません。
大きな揺れが収まると園庭に避難するは当然?
揺れが収まると避難訓練では、園庭に避難しますが、それが正しいとは限りません。
東日本大震災では、園庭にひび割れができ、開いたり閉じたりしていた園もあります。
その園では耐震補強がしてあり安全だということで、急きょ、ホールに子どもたちを集めました。
その後、じわじわと増水し、夕方には床上まで浸水しましたが、2階に避難して子どもたちを守りました。
園に留まるという選択肢もある
建物に不安が無く、津波の想定もそれほどではない場合は園に留まるという選択もあります。
避難先の学校までの道路は液状化しないでしょうか。
避難経路にブロック塀はないでしょうか。
避難所には食料も限られていますし、毛布も無いかもしれません。
年少の子どもが泣くことも周囲に気を使います。
断水すれば水洗トイレも悲惨な状態になります。
火災と違い、何が何でも避難するということが正解ではありません。
今まで当たり前のようにやってきた避難訓練をもう一度見直してみませんか。
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今まで常識と思っていることは本当に有効か?-1-
今までの避難訓練で常識と思って来たことは本当に有効か、どんなときに有効で、そうでない対応も取らなければならないのか考えてみます。
ハザードマップの白色の地域は安全?
ハザードマップで色がついていると、「本当にここまで津波が来るのだろうか?」と不安になりますし、白色の地域の人は安心します。
しかし、ハザードマップは、過去の災害を元にこの地点まで津波が来た(洪水で冠水した)ということを示していますので、これから来る災害が今まで以上の規模であれば被災するかもしれないと思わなければいけません。
大川小学校は想定区域外の白色だった

校舎の2階天井まで津波が来た
東日本大震災で74名の子どもが津波の犠牲となった大川小学校は、海から3.5キロの場所にあり、津波想定区域外でハザードマップでは白色でした。
震災後の裁判で、石巻市側は「津波想定区域外であり、津波は想定できなかった」と無罪を主張しましたが、最高裁で確定した内容は、「ハザードマップ(の白色)は安全を保障するものではない」として、主張を退けました。
ハザードマップの白色は免罪符にはならないのです。
釜石市は想定外でも対応できる訓練をした

写真は左が釜石東中学校 右が鵜住居小学校(いずれも当時)
3階まで津波が来たが校内にいた児童・生徒は全員避難した
釜石市は、群馬大学の片田敏孝教授(当時)の協力で防災教育に取り組み、ハザードマップの白いk炉の地域でも津波が来る可能性があるとして、市全体で千人以上の犠牲者が出たにもかかわらず、学校にいた子どもは全員避難して助かりました。
日本列島では、どのような災害が発生するかもわかりませんし、安全と言い切れる場所はないと思って準備することが求められます。
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