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東北の保育者たちに学び、備える~巨大地震が来る前にできること

元・名古屋短期大学保育科教授まきさんと一緒に考える保育所・幼稚園の震災・防災・地震対策

伊方原発3号機 運転認める 去年の仮処分判断取り消す 広島高裁

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伊方原発3号機 運転認める 去年の仮処分判断取り消す 広島高裁
2021年3月18日 NHK

NHKは、以下の報道をしました。

愛媛県にある四国電力伊方原子力発電所3号機について広島高等裁判所は、「原発の安全性に影響を及ぼす大規模自然災害が発生する可能性が高いとはいえない」として去年1月の仮処分の判断を取り消し、運転を認める決定をしました。

愛媛県にある伊方原発3号機について、広島高等裁判所は、去年1月、山口県南東部にある島の住民3人の申し立てを受け、地震や火山の噴火による具体的な危険があるとして、運転を認めない仮処分の決定を出しました。
四国電力が異議を申し立てたのを受けて、広島高裁の別の裁判長のもと、原発の敷地の近くに活断層があるかどうかや、およそ130キロ離れた熊本県の阿蘇山で巨大噴火が起きた場合の影響などが争われました。
18日の決定で、広島高裁の横溝邦彦裁判長は、去年の仮処分の判断を取り消し、運転を認めました。

決定では、地震の揺れについて「海上探査の結果、原発の敷地の至近距離に活断層はないとした四国電力の評価に不合理な点はなく、南海トラフの地震による揺れの評価も不合理とは認められない」と指摘しました。
また、阿蘇山の噴火については「今後数十年か100年程度の間の噴火の危険については専門家の間でも意見が分かれ、現在の科学的見解では、原発の運転期間中に破局的噴火が発生する可能性が高いとはいえない」と指摘しました。
そのうえで「原発の安全性に影響を及ぼす大規模自然災害が発生する可能性が高いとはいえない」としました。
伊方原発3号機をめぐって四国電力は、再稼働に向けて設置が義務づけられたテロ対策などの施設が完成することし10月までは、運転停止が続くという見通しを示していて、今後、再稼働するまでには半年以上かかるとみられます。

仮処分の内容はどうだったのか

今回の判決は2020年1月17日の仮処分を否定した内容ですが、仮処分の内容はどうだったのでしょうか。
広島高裁は四国電力伊方原発3号機運転差し止めを認めた理由として、1.伊方原発の敷地から2キロメートル以内と想定される近くに活断層がある可能性を否定できないこと、2.阿蘇山が大きな噴火をした際の火山灰などの噴出規模が、四国電の想定の「約3~5倍にのぼる」と指摘し、噴火想定が過小だと判断。これを前提とした規制委の判断を「不合理」と批判していました。

伊方原発は、原発の600メートル沖には、世界最大級の中央構造線の主断層が走っており、世界で最も活断層に近い原発と言われています。

安易な再稼働は疑問です。安全確認をしっかり行うだけでなく4つのプレートが重なり合う日本で原発を作ること自体どうなのかという議論をしてもらいたいですね。

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津波想定区域の保育園の避難 保育園の屋上を避難タワーにした例

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津波想定区域の保育園の避難
保育園の屋上を避難タワーにした例


震災を経験した東北の保育士さんたちに「全国の保育士さんたちに伝えたいことは何か」と聞くと、みなさん「すぐに高い所に逃げるように伝えてください」と言われました。

高い所に避難する

それでは津波想定区域にも関わらず、近くに高台、建物などの緊急に避難できる場所がない場合はどうすればよいでしょうか。
自治体が写真のような避難タワーを園の近くに造ってくれていればよいのですが、近くに避難タワーもない所も多いと思います。
港区避難タワー
港区南陽町の避難タワー

避難の距離は500m以内

東北の保育所では、1キロメートル以上逃げたという園もありました。
坂道を登っての避難ですから小さな子どもたちを連れて避難するには500メートルくらいが限度です。

園舎の屋上に避難

愛知県内には、近くに避難できる高い場所がない園で屋上に避難できるようにしている保育所がいくつかあります。

名古屋市港区 わんぱく保育園

わんぱく園舎1

園舎2

名古屋市立港区の私立わんぱく保育園は、園舎が海抜ゼロメートルの場所に建っています。新規開園に際して園舎中央と園庭の2か所から屋上に上ることができる階段を作りました。
南海トラフ地震で想定される津波高は最大5メートルですから、屋上への避難で対応できます。
屋上にはトイレと水道が用意されています。また、写真は日よけシートがかけてありますが、避難時は雨を防ぐため、ビニールシートがかけられるようにしてあります。
わんぱく保育園の園長さんは元消防士です。防災のプロとして日本一安全な保育園目指して設計されました。

港保育園1
名古屋市立港保育園
港保育園の屋上避難場所

名古屋市は、港保育園の新築移転に際して、屋上に避難場所を設置しました。
港保育園も海抜ゼロメートルの場所に建っており、地域の市民の方も避難できるように非常時にはかぎを開けると外からも屋上に避難できるようにしてあります。

弥富市十四山保育所

十四山保育所

十四山保育所は何度か紹介しましたが、海抜-1.5メートルの所に立地していますので、津波や堤防が切れると避難できなくなります。
地域住民の方も近くに避難できる場所がありません。
園だけでなくと住民の方も要望され、約2,800万円かけて屋上への非常階段と屋上に多くの人が昇ってもよいように補強工事をしました。
避難訓練には、年1回、地域の人たちも屋上に避難する訓練をしています。

津波の被害が心配な街 2 名古屋市

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津波の被害が心配な街 2 名古屋市

大阪市に続き、日本最大の海抜ゼロメートル地帯を抱える名古屋市を含む濃尾平野の解説です。

伊勢湾は巨大な海だった


濃尾平野 古地図

大阪平野同様に濃尾平野も縄文前期には平野のほとんどが海の下でした。
図は、国土交通省中部整備局のホームページからの紹介です。
元の地図は猿投神社のものとされていますが、何度も書き写しがされているようで正確とは言えませんが、伊勢湾の一番奥は岐阜県まで達しています。

地図の右下あたりの「熱田」という所は熱田神宮のある場所ですが、そのあたりまで平野になっており、城下町となっていました。
熱田神宮の近くに東海道五十三次の宮宿がありました。
宮宿の次の宿場は桑名宿(現在の三重県桑名市)ですが、東海道で唯一渡し船でしか通行できませんでした。
湿地や海で道が作ることができなかったからです。

日本最大の海抜ゼロメートル地帯

十四山保育所2
写真は愛知県弥富市の十四山保育所

さて、現在の濃尾平野ですが、海抜ゼロメートル地帯は全国最大の336㎢で、全国の海抜ゼロメートル地帯の3分1を占めています。
名古屋市の南側と西側にあたりますが、海抜ゼロメートル地帯を抱えた自治体は、愛知県津島市、稲沢市、弥富市、愛西市、あま市、海部郡(蟹江町・大治町・飛島村)、常滑市、半田市、東海市、武豊町、碧南市、刈谷市、西尾市、蒲郡市、豊川市、豊橋市、田原市、名古屋市(南区・港区・中村区・中川区・熱田区・緑区・瑞穂区)、三重県津市、四日市市、桑名市、松阪市、川越町、明和町、伊勢市、岐阜県海津市に及びます。

伊勢湾台風では大変な被害

1958年の伊勢湾台風では、海抜ゼロメートル地帯が大変な被害にあいました。
弥富市は、伊勢湾台風の時に3か月以上水が引きませんでした。名古屋市内でも1か月水が引かない場所もありました。
南海トラフ地震では、最初の揺れで地盤が下がる恐れがありますので、一層深刻です。

南海トラフ地震の愛知県の被害想定

南海トラフ地震が発生すると、愛知県が試算した最大の被害想定は、29,000人の死者が出るとしています。
東日本大震災の震災関連死を除く死者・行方不明者がおよそ1万8千人ですから、大変な被害が想定されています。
浸水地域も98.7㎢に及びます。

十四山保育所

写真は前述の十四山保育所ですが、近くに高い建物もないことから、園舎の屋上に避難できるようにしました。
自治体の責任で子どもたちを守る取り組みが求められます。

標高(海抜)の調べ方

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標高(海抜)の調べ方

職場の保育園などが津波想定区域にあることは知っていても実際に津波が来る可能性があるかどうかは知りたいですね。
そのためには、まず園に津波が到達する可能性があるのかと園の標高を知ることです。

南海トラフ地震は大きな被害が想定されていますが、正しく知って、事前の十分な対応を取れば被害を最小限に食い止めることができます。
名古屋市は、大きな交差点などでは標高が表示されていますが、園や自宅の標高はわかりません。
ここでは、標高の調べ方を紹介します。

まずは園周辺の立地を知ること
津波の想定と標高を調べる


南海トラフ地震で、みなさんの園の所在する市町村の最大津波想定を知って下さい。
自治体の情報から得るか、「南海トラフ地震 被害想定 朝日新聞」で検索すれば、みなさんの市町村にどのような津波が何分後に来るかがわかります。
例え津波想定区域外であっても、豪雨災害の時に園周辺が周りよりも低ければ冠水する可能性があります。

昨年、大阪市住吉区の園からzoomでの講演依頼を受けて調べた時の話です。
園の標高は10.7メートルで、南海トラフ地震の最大津波の想定が5メートルですから、津波が園舎に到達する可能性は低いということになります。
ただし500メートル西に行くと住之江区ですが、隣の区の標高は4メートルほどしかありません。住吉区は上町台地に立地しており、地盤も高く安定していますので、園に留まり園児を守ると共に、海側の巣もよし区から住民が避難してくる可能性があるので、避難所の子どもへの支援などを考えてもらいたいということを伝えました。

マピオンと国土地理院の地図検索サイト

マピオン
マピオン地図1

マピオン2
ホームページで「マピオン」で検索していただくと簡易検索ですがクリックした地点の海抜が表示されます。
1メートル単位ですが、ある程度の海抜が分かります。
国土地理院
国土地理院のホームページは10センチメートル単位で簡易検索といっても海抜が検索できます。
写真は名古屋駅を比較しましたが、マピオンでは1メートルの表示、国土地理院は2.2メートルでした。駅近くの交差点の表示は2メートルですから、国土地理院のほうがより正確のようです。
地理院1

地理院2

地理院3

マピオンの検索の仕方
マピオンは、「マピオン」のホームページを開き、都道府県、市と選んでいき目的地の場所を検索します。
目的の保育園などにカーソルを合わせ右クリックすると目的地の情報が出てきます。右上に標高が出てきます。

国土地理院地図の検索の仕方
国土地理院の地図は、「地理院 地図」のキーワードから地図を開きます。目的地の住所を入力すると目的地の地図が出てきます。
左下に標高が出てきますので、簡単に検索できます。

自然災害リスクの高い都市ランキング

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自然災害リスクの高い都市ランキング

無題


少し前ですが、2013年、スイスの再保険会社スイス・リーが世界616都市を対象に地震、暴風雨、高潮、津波と洪水の5つのカテゴリーで被災する可能性のある人の数を推計しました。

ちなみに再保険会社とは、大規模災害などに保険会社では保障しきれない時などのために、保険会社をサポートするための保険会社です。

その調査によると、東京・横浜は第1位となりました。
地震活動が活発な地域に位置していることや、津波の危険性が高いことなどが背景にあります。


他の調査でもワースト1

ちなみに、ミュンヘン再保険会社が2003年に調査した、同種の調査でも2位のサンフランシスコの4倍という高い数値で1位となっています。


4つのプレートが重なる立地

江東5区という海抜ゼロメートル地域に150万人が生活し、太平洋、北米、ユーラシア、フィリピン海の4プレートが重なる立地条件ですから当然の結果なのかもしれません。

大阪・神戸は局地的豪雨による河川の氾濫や津波のリスクが高いこと、名古屋は活断層が近くにあること、台風や津波のリスクが高いことから上位になりました。

1位 東京・横浜
2位 マニラ
3位 珠江デルタ 中国
4位 大阪・神戸
5位 ジャカルタ
6位 名古屋

災害別ランキング

災害別の危険度ランキングの日本の都市部は以下の通りです。

*地震
第1位 東京・横浜 
第5位、大阪 
第7位、名古屋

*暴風雨 
第2位 東京・横浜 
第4位、大阪 
第7位、名古屋

*洪水
第6位 東京・横浜 

*高潮
第2位 大阪・神戸 
第4位 東京・横浜

*津波
第1位 東京・横浜 
第2位 名古屋
第3位 大阪 

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